ハードウェア保守とは?業務内容や費用相場、外部委託のメリットを解説

 株式会社エスエーティ

業務システムの安定的かつ持続的な稼働を担保するためには、サーバーやネットワーク機器といった物理的なハードウェアの保守・運用が不可欠です。本記事ではハードウェア保守の基本的な業務内容や運用との違い、一般的な費用相場、メーカー保守終了(EOSL)後の保守業務の課題について解説します。

ハードウェア保守とは?業務内容や費用相場、外部委託のメリットを解説

ハードウェア保守とソフトウェア保守

現代の企業経営ではITシステムの戦略的活用が必須といっても過言ではなく、事業継続性を確保するためにはITインフラの保守・運用の体制を確立しなくてはなりません。企業にとって重要な経営課題のひとつはリスクマネジメントの最適化です。事業活動に内包される危険要因を多角的に分析・評価し、リスクの回避と損失の最小化を推進する必要があります。そして事業活動におけるリスクの最小化を図る上で重要な役割を果たしているのが、ハードウェアやソフトウェアといったITインフラの保守業務です。

ハードウェア保守で行うこと

ハードウェアとは、PCやサーバー、ストレージ、ネットワーク機器、周辺機器など、コンピュータを構成する物理的な機器を指します。ハードウェア保守業務とは、こうしたサーバーやネットワーク機器などの物理的な機器に何らかの問題が発生した場合、適切なアセスメントを経て修理・調整・改修を実施する業務の総称です。具体的な作業内容としては機器障害の際の原因究明や故障機器の交換、などが挙げられます。

企業が事業継続性を確保するためには、ハードウェアの保守業務は欠かせない取り組みのひとつです。たとえば、自社のオンプレミス環境で運用している基幹システムに大規模な障害が発生した場合、事業の継続に多大な支障をきたすとともに、状況によっては取り返しのつかない経済的損失を招く可能性があります。このような危機的状況に陥った場合、いかにして的確かつ迅速にシステムを復旧するかが重要です。企業が持続的に発展していくためには有事の際に備えて、リスクを最小限に抑える保守体制の整備が求められます。

リスクマネジメントの最適化を図るためには、ITインフラの運用体制を整えるだけでなく、「運用」と「保守」の相違点を理解することも大切です。「運用」と「保守」は同義として捉えられる傾向にありますが、前者はITシステムのトラブルを未然に防止する一連の施策を指し、保守はトラブル発生時の対応業務を意味します。たとえば、サーバーの点検や冗長化、ネットワークの監視、セキュリティパッチの適用などがハードウェア運用の主な業務内容です。つまり、「運用」はITシステムの安定稼働を目的とする事前対応、「保守」は障害発生時における事後対応と言い換えられます。

ソフトウェア保守で行うこと

ソフトウェアとは、IT分野においてハードウェアと対比される用語であり、コンピュータに命令を下して特定の処理や情報の制御を実行するプログラムを指します。たとえば、「Microsoft Windows」や「Linux」のようなOS、あるいはワープロソフトや表計算ソフトのような目的に応じて使用されるアプリケーションなどがソフトウェアの代表例です。ソフトウェア保守の主な業務内容としては、アプリケーション領域におけるバグやトラブルといった問題の解決、OSのアップデートに伴う不具合の修正、通信障害の潜在的な原因究明や復旧作業などが挙げられます。また、バグや障害を修正するだけでなく、ユーザビリティや可用性の向上を目的として機能の改良・追加を実施するのもソフトウェア保守の一環です。

システム保守の費用相場

ITインフラの保守に要する費用は組織規模やシステムの形態、導入している機器などによって変動するため、絶対的な基準は存在しません。一般的にはITシステムの設計・開発に要したコストの5〜15%が年間における保守費用の一般的な相場とされています。たとえば、販売管理システムの設計・開発に500万円を要した場合、ハードウェアとソフトウェアを含むITインフラの保守費用として、およそ年間25〜75万円程度のコストが発生するという計算です。ただし、保守・運用に要するコストは組織によって大きく異なるため、あくまでもひとつの目安として参考にしてください。

ハードウェア保守業務の課題

ハードウェア保守業務における重要課題として挙げられるのが「EOSL(End Of Service Life)」です。EOSLとは、トラブル発生時の原因究明や保守部品の交換といったメーカーによる保守サービスが終了することを指します。基本的にメーカーが販売するIT機器の保守サービスにはサービスの提供期間設定されており、その保守期間は5〜7年となっているのが一般的です。

EOSL製品はメーカーの保守サービスを受けられないため、そのまま運用を継続した場合は故障や不具合、セキュリティインシデントなどによって事業活動に多大な支障をきたすリスクをはらんでいます。

保守サービスが終了するハードウェア製品を利用している場合、主な選択肢として挙げられるのは「ハードウェアの刷新」か「保守業務の内製化」、または「第三者保守サービスの活用」の3つです。導入コストや既存の業務プロセスとの関係性など、さまざまな事情からEOSL製品を使用し続けなくてはならないケースは少なくありません。そのような場合は技術や知識、リソースなどの観点から保守業務を内製化できる企業は多くないため、外部の第三者保守サービスを利用するケースが多い傾向にあります。

ハードウェア保守を委託するメリット

ハードウェアは保守サービスの期間が設定されており、EOSL製品を運用し続ける場合は保守業務をアウトソースするのが一般的です。ここでは、ハードウェア保守を委託するメリットについて解説します。

ハードウェア保守を委託するメリット

ハードウェア保守を委託するメリットのひとつは人的資源の最適化です。現代は少子高齢化の進展に伴ってさまざまな分野で人材不足が深刻化しており、経済産業省がみずほ情報総研株式会社に委託した調査(※1)によると、2030年におけるIT人材の不足数は約45万人に達すると試算されています。人材不足が叫ばれる現代市場のなかで企業が持続的に発展していくためには、価値創出の源泉となるコア業務に人的資源を集中し、可能な限りノンコア業務の省人化を推進しなくてはなりません。

自社のITインフラを構築しているハードウェアの保守サービス期間が終了を迎えた場合、保守業務の内製化すると、そこに人員を割かなければならず、体制の維持にも多くのリソースを要します。ハードウェアの保守業務をアウトソースし、経営戦略の立案や新規事業計画の設計といったコア業務に人的資源を集中することで、競合他社にはない顧客体験価値を生み出す一助となります。

また、ハードウェア保守を委託することでシステム管理部門の業務負荷を軽減し、人件費や福利厚生費などの削減に寄与する点も大きなメリットです。それによって生産設備の導入やデジタルシフトなどに回せる投資資金が増加するのはもちろん、浮いた資金を再度ハードウェア保守に充てられるという好循環につながります。そしてプロフェッショナルに保守業務を委託することで、サーバーダウンやネットワーク障害などへの的確かつ迅速な対応が可能になると同時に、常に最新の技術にアップデートできるというメリットを享受できます。

まとめ

ITシステムの恒常的かつ安定的な稼働を担保するためには、ハードウェアとソフトウェアの保守・運用体制を整備しなくてはなりません。基本的に「保守」は障害発生時における事後対応を指し、「運用」はITシステムの安定稼働を目的とする事前対応を意味します。システム障害の復旧や故障した機器の交換、不具合の改修、バックアップからの復元、トラブルの原因究明などがITシステムの保守における基本的な業務領域です。

とくにハードウェアの保守は、事業継続性を確立する上で非常に重要な経営課題のひとつです。メーカーが販売するIT機器は保守サービスの期間が設定されており、一般的な期間は5〜7年となっています。メーカーの保守サービス期間が終了した場合、基本的に「ハードウェアの刷新」「保守業務の内製化」「第三者保守サービスの活用」のいずれかを選択しなくてはなりません。さまざまな事情からEOSL製品を使用し続ける必要がある場合は、日本全国での保守実績を有するSATにお気軽にご相談ください。

 

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